今回のテーマ
トップページで「何の会社か」を3秒で伝えること。主力製品を明確に掲げ、現場を見せ、公開後も育て続けることで、ホームページは問い合わせの入口になります。
いつもつなぐホームページをご利用いただき、誠にありがとうございます。つなぐホームページのWEBデザイナー、神原キサコです。
先日の暑い夜、ヒデコがよく冷えた白ワインを持ってアパートに遊びに来ました。私は冷蔵庫の残り物でおつまみを3品。「キサコのつまみは居酒屋より上」と言われて気を良くしているうちに、2人でボトルが2本空いていました。
さて、本編の前にひとつだけ。スマホで自社のホームページを開いて、3秒だけトップページを眺めてみてください。「何を作っている(何をしている)会社か」を一言で言えるか——今日はそんなお話です。
今日お伺いしたのは、滋賀県長浜市で工業用の機械刃物を作っている加藤社長様の工場。従業員13名、機械にセットする「切る・削る」ための特注刃物ひと筋の会社です。昨年、つなぐホームページでサイトをリニューアルしてくださって、今日は保守メンテナンスの定期訪問でお邪魔しました。
事務所に入ると、加藤社長様が開口一番、こうおっしゃいました。
加藤社長
神原さん、ちょうどよかった。先週ね、県外の機械メーカーの調達部から電話が来たんですよ。『ホームページを見ました』って。うち、県外に営業なんて一人も行かせてないのにね。
神原
すごいじゃないですか! リニューアルから1年経って、どうですか?
加藤社長
問い合わせは月に5件くらいかな。前は売り込みの営業メールばかりでした。それが今は、図面付きの相談が来る。何が変わったのか、私なりに考えてることがあるんですよ。
自分なりの答えをお持ちの社長様のお話は、いつも勉強になります。今日はその「何が変わったのか」を、3つのヒントに整理してお届けしますね。
ヒント① 「何でもできます」は、「何も伝わらない」と同じなんです
以前の加藤社長様のホームページは、20年近く前に作ったものを手直ししながら使っていたそうです。トップページには「金属加工全般、なんでもご相談ください」の文字。
加藤社長
嘘は書いてないんですよ。実際、頼まれれば大抵のことはできる。でも神原さんに言われたでしょう。『これでは、何の会社か分かりません』って。
神原
申し上げました(笑)。あれはメニューのない食堂と同じなんです。『何でも作れますよ』と言われても、お客様は何を注文していいか分からない。それなら、のれんに『そば』と大きく書いてある店に入りますよね。
リニューアルで一番最初に決めたのは、トップページの一番目立つ場所に「機械刃物」という主力製品を掲げることでした。会社の看板を掛け替えたわけです。
加藤社長
社内では反対もあったんです。『刃物だけの会社だと思われたら、他の仕事が減る』って。でも逆でした。刃物の会社だとはっきり伝わるようになったら、刃物で困っている人が探し当ててくれるようになった。今では『機械刃物 特注』で検索すると、うちが1ページ目に出てきますよ。
発注する側の立場で考えると、当然なんです。探している人は「何でもできる会社」ではなく、「自分の困りごとを解決してくれる専門の会社」を探しているんですから。
関連する記事
製造業のホームページの組み立て方は、製造業のホームページ制作!信頼と受注につなげるサイト構築のコツでも詳しくまとめています。
ヒント② 見えない現場こそ、見せる価値があるんです
もうひとつ、リニューアルで力を入れたのが工程を見せることでした。プロのカメラマンに工場へ入ってもらい、鋼材を熱して打つところ、刃先を研ぎ出すところ、機械が動くところを写真と動画に収めたんです。
加藤社長
最初は『こんな油まみれの現場、撮ってどうするの』と思いましたよ。うちの仕事は、機械の中に組み込まれたら見えなくなる部品ですから。でもプロが撮ると、自分の会社じゃないみたいに格好よく見えるんだね。
神原
加藤社長様、そこが大事なところなんです。発注担当の方は、カタログの数字だけでは決められません。『この会社に任せて大丈夫か』を確かめたい。工程の写真や動画は、発注担当の方にとってのオンライン工場見学なんですよ。
現場が見えると、技術が伝わります。技術が伝わると、価格の前に信頼が生まれます。加藤社長様のところに図面付きの相談が届くようになったのは、「この工程を持っている会社なら相談できる」と、見る側が判断できるようになったからなんです。
加藤社長
たしかにね。電話をくれた調達の人も『動画を見ました。あの設備があるなら、この仕事は頼めると思った』と言ってたな。
皆さまの会社にも、「うちでは当たり前すぎて、見せる価値があると思っていなかった現場」がありませんか? それこそが、実は一番の営業資料かもしれないんです。
ヒント③ ホームページは、作って終わりの「置き物」ではないんです
そして加藤社長様がすごいのは、ここからなんです。
加藤社長
納品してもらった後、製品のページはうちで結構足したんですよ。刃物の種類ごとにページを作ってね。そうしたらアクセスが目に見えて増えた。神原さんとこが基礎を作ってくれたから、あとは自分たちで棚に商品を並べていく感覚でした。
神原
その感覚、素晴らしいです。ホームページは畑なんですよ。植えて終わりの畑はありませんよね。手を入れて、知恵を入れて、育てるほど実りが増える。加藤社長様は、それをご自分の手でやっていらっしゃる。
実際、数字にも表れています。問い合わせが月5件——これは年に直せば60件の商談のきっかけです。飛び込みや電話営業で60件の「話を聞いてくれる相手」を作ろうと思ったら、どれだけの時間がかかるでしょうか。加藤社長様の会社では、ホームページが24時間、文句も言わずに新規開拓をしてくれているわけです。
関連する記事
育てる場所を決めるにはデータの確認が役立ちます。見られているのにクリックされない——データで見つけた「もったいないページ」の直し方もご参考ください。
加藤社長
ホームページは作って終わりじゃなくて、育てていくものなんだね。せっかくここまで来たから、次は動画も撮り直したいんですよ。人も入れ替わったし、現場も変わっていくから。
今日の自分ごと化チェック
- トップページの一番目立つ場所に、主力製品・主力サービスの名前が書いてありますか?
- 現場や工程が伝わる写真・動画が、1枚でも載っていますか?
- この1年で、自分たちの手でページを足したり直したりしましたか?
ホームページは、会社の看板であり、オンラインの工場見学であり、24時間働く営業マンです。でもその力は、「何の会社か3秒で伝わること」と「育て続けること」があって、初めて発揮されるんです。
1つでも「いいえ」があったら、もったいない状態かもしれません。月5件の問い合わせは、年60件の商談機会。トップページが3秒で伝わらないだけで、その入口が閉じている可能性があるんです。
自社のホームページが「何の会社か」きちんと伝わっているか、外の目で確かめてみませんか?