「うちのホームページ、アクセスが少ないんですけど……」
僕はITコーディネータとして中小企業のホームページ活用を支援していますが、この相談を受けたとき、最初に聞き返すのは「何と比較して、少ないですか?」です。
月1,000PVは少ないのか。月5,000PVなら十分なのか。その判断基準を、ほとんどの中小企業は持っていません。大企業の事例を見て「うちは全然ダメだ」と落ち込むか、「まあこんなもんだろう」と何もしないか。どちらにしても、次のアクションにつながりません。
今回、僕たちが管理・分析している80サイト分のGA4(Googleアナリティクス4)データを業種別に集計しました。80サイトはすべて東北を中心とした中小企業のホームページです。従業員1〜50人規模の、御社と同じような会社のリアルな数字です。
この記事でわかること
- 東北を中心とした中小企業80サイトの業種別アクセス基準
- アクセス数だけでは判断できない「正しいお客様」の見方
- 自社サイトを同業他社と比べるときの考え方
この記事を読み終わったとき、「うちの業種なら、このくらいが普通なんだ」という基準が手に入ります。
80サイトのデータをなぜ出せるのか
僕たちハンズバリュー株式会社は、中小企業のホームページを制作するだけでなく、公開後のアクセス解析も一括で管理しています。GA4とSearch Console(サーチコンソール)のデータを自動取得して、週次・月次でレポートを作る仕組みを自社で開発・運用しています。
現在、この仕組みに接続されているサイトが80サイト。業種は宿泊業から建設業、製造業、小売業まで11業種にわたります。
今回お見せするのは、2026年6月第2週(6/7〜6/13)の1週間のデータです。お客様の社名やサイト名は一切出しません。業種ごとの平均値だけを掲載します。
業種別アクセスランキング
80サイトを業種別に集計した結果がこちらです。
| 順位 | 業種 | サイト数 | 平均セッション/週 | エンゲージメント率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 宿泊業・飲食業 | 23 | 772 | 60% |
| 2 | 製造業 | 11 | 501 | 59% |
| 3 | 観光・レジャー | 7 | 479 | 54% |
| 4 | 卸売業・小売業 | 10 | 447 | 47% |
| 5 | 運輸業 | 5 | 169 | 51% |
| 6 | その他 | 2 | 104 | 51% |
| 7 | 専門サービス業 | 4 | 100 | 43% |
| 8 | 医療・福祉 | 2 | 89 | 56% |
| 9 | 生活関連サービス | 6 | 71 | 45% |
| 10 | 不動産業 | 1 | 69 | 51% |
| 11 | 農業・林業 | 2 | 233 | 51% |
| 12 | 建設業 | 7 | 37 | 57% |
| — | 全体平均 | 80 | 424 | 54% |
1位の宿泊業・飲食業は週772セッション。最下位の建設業は週37セッション。その差は約20倍です。
「やっぱりうちの業種はダメなんだ」と思った方、ちょっと待ってください。この数字には、ある重要な前提が隠れています。
アクセスが多い業種には「構造的な理由」がある
宿泊業・飲食業がアクセス1位なのは、ホームページの「役割」が他の業種と根本的に違うからです。
温泉旅館のホームページは、予約導線そのものです。「今度の週末、どこか泊まりたい」と思った人が検索し、写真を見て、料金を確認し、空室カレンダーをチェックし、予約する。この一連の行動がすべてホームページ上で完結します。だからアクセスが多い。
一方、建設業のホームページはどうでしょうか。「自宅のリフォームを頼みたい」と思っている人が、建設会社のホームページを何度も訪れるでしょうか。多くの場合、施工事例を見て、会社概要を確認して、電話をかける。ホームページを訪れるのは1〜2回です。
つまり、業種によってホームページの「使われ方」が違うのです。宿泊業のアクセスが多いのは「ホームページが優れているから」ではなく、「業種の構造としてホームページへのアクセスが発生しやすいから」です。
この事実を知らないと、建設業の社長が温泉旅館のアクセス数を見て「うちも月間1万PVを目指そう」と、見当違いの目標を立ててしまいます。
数字の大小より、「正しい人が来ているか」
ここで、もう一度テーブルを見てください。今度は右の列、「エンゲージメント率」に注目します。
エンゲージメント率とは、「サイトに来た人のうち、10秒以上滞在した、または2ページ以上見た、またはコンバージョンした人の割合」です。つまり、そのサイトに用事があって来た人の割合と考えてください。
| 業種 | セッション | エンゲージメント率 |
|---|---|---|
| 宿泊業・飲食業 | 772 | 60% |
| 建設業 | 37 | 57% |
| 専門サービス業 | 100 | 43% |
建設業は週37セッションしかありません。しかしエンゲージメント率は57%。宿泊業の60%とほとんど変わりません。来ている人の半分以上が、ちゃんとサイトの中身を見ているということです。
さらに注目すべきは専門サービス業です。セッション数は100と多くありませんが、直帰率が32%と全業種で最も低い。直帰率とは「1ページだけ見て帰った人の割合」です。32%ということは、来た人の7割近くが2ページ以上見ている。つまり、「正しいお客様」がサイトに来ているということです。
ここで大事なのは、「アクセスが少なくても大丈夫」と言いたいのではないということです。
正しいお客様が来ているなら、次にやるべきことはその正しいお客様をもっと増やすことです。
アクセスの「量」を闇雲に増やすのではなく、「質の高いアクセスを、もっと多く呼び込む」。それが中小企業のホームページで成果を出すための正しい順序です。
では、「正しいお客様が来ているかどうか」をどうやって判断するのか。GA4のエンゲージメント率と直帰率を見れば、その手がかりが得られます。
御社の業種の「普通」を知っていますか?
改めて、業種別の数字を整理します。
| 業種 | セッション/週 | エンゲージ率 | 直帰率 |
|---|---|---|---|
| 宿泊業・飲食業 | 772 | 60% | 38% |
| 製造業 | 501 | 59% | 41% |
| 観光・レジャー | 479 | 54% | 46% |
| 卸売業・小売業 | 447 | 47% | 53% |
| 運輸業 | 169 | 51% | 29% |
| 専門サービス業 | 100 | 43% | 32% |
| 医療・福祉 | 89 | 56% | 44% |
| 生活関連サービス | 71 | 45% | 55% |
| 建設業 | 37 | 57% | 43% |
これが、東北を中心とした中小企業80サイトの「普通」です。
御社のGA4を開いて、過去1週間のセッション数とエンゲージメント率を確認してみてください。同じ業種の平均と比べて、どうですか?
- セッションが平均より多い+エンゲージメント率も高い → 順調です。コンバージョン(問い合わせ・予約)の導線を強化するフェーズです
- セッションが平均より多い+エンゲージメント率が低い → 来ているけど読まれていない。ページの内容やタイトルの見直しが必要です
- セッションが平均より少ない+エンゲージメント率が高い → 正しいお客様は来ている。SEO対策や広告で「同じ質のアクセス」を増やすフェーズです
- セッションが平均より少ない+エンゲージメント率も低い → ホームページの目的と内容が合っていない可能性があります。まずサイトの棚卸しから始めましょう
僕がこれまで支援してきた中で最も多いのは、3番目のパターンです。正しいお客様は少数ながら来ているのに、「アクセスが少ない」というだけで「ホームページは意味がない」と判断してしまう。
ある建設会社の社長に「月間50セッションしかないんですが……」と相談されたことがあります。しかしGA4を確認すると、エンゲージメント率は65%。来た人の6割以上が施工事例を3ページ以上見ていました。そして月に1〜2件、電話での問い合わせが入っていた。
月50セッションで月1〜2件の問い合わせ。コンバージョン率にすると2〜4%です。これは中小企業のホームページとしてはかなり良い数字です。問題は「アクセスが少ない」ことではなく、「この質のアクセスをもっと増やせていない」ことでした。
この会社の場合、施工事例のページが検索結果に出始めていたので、事例を増やしてSEO対策を強化するだけで、同じ質のアクセスを2〜3倍に増やせる見込みがありました。
「量」を追うのではなく、「質の高いアクセスの量」を増やす。言い方を変えれば、「正しいお客様の人数を増やす」。これが中小企業のホームページ改善の正しいアプローチです。
自社サイトの数字を読み解く次のステップ
GA4の基本的な見方をまだ整理していない方は、先にGA4の使い方がわからない中小企業経営者のための基本ガイドを確認しておくと、業種別データを自社の判断に使いやすくなります。
数字を見て「そもそもホームページの作りに課題がありそう」と感じた場合は、ホームページに効果がないと感じたら確認すべき5つのことで受け皿を点検してください。
比較対象がなければ、判断はできない
この記事でお伝えしたかったのは、「業種で39倍差がある」という派手な数字ではありません。
自分の業種の「普通」を知らなければ、自社のホームページが良いのか悪いのか判断できないということです。
大企業の成功事例と比べて落ち込むのも、「まあこんなもんだろう」と何もしないのも、どちらも「比較対象が間違っている」か「比較対象がない」ことが原因です。
今回お見せした80サイトのデータは、従業員1〜50人の中小企業のリアルな数字です。同じ規模の会社同士で比べれば、「うちは意外と悪くない」と気づくかもしれないし、「ここは改善の余地がある」と見えるかもしれません。
この記事のデータは、すべて僕たちが開発・運用しているアクセス解析ツールの画面から取得しました。80サイト分のGA4・Search Consoleデータを自動で集計し、業種別のベンチマークとして比較できる仕組みです。
御社のサイトも、同じ仕組みで診断できます。GA4・Search Console・セキュリティの3視点から、現状を無料でレポートにまとめてお渡しします。「うちの業種の平均と比べてどうか」を、具体的な数字で確認してみませんか。
御社のサイト、同業他社と比べてどうですか?
80サイトの業種別ベンチマークと比較して、御社の現状を無料で診断します。ITコーディネータが1〜2枚のレポートにまとめてご報告します。